「企業がサテライトオフィス(以下SO)をもつメリットはなんだろうか。」そんな疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。今回、徳島県美波町にSOを開設している株式会社イーツリーズ・ジャパン(東京都八王子市)が、同じく徳島県南に位置する阿南工業高等専門学校よりインターンシップ生の受け入れを行いました。活動をお伺いする中でみえてきた、SOを通した地域との関わりの広がりをご紹介します。
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■企業名:株式会社イーツリーズ ・ジャパン
■代表取締役 船田 悟史
■本社:東京都八王子市
■事業内容:ハードウェアとソフトウェア製品の設計・開発
■SO開設:2016年
■進出自治体:徳島県海部郡美波町
■美波町での活動内容:
– 大規模スポーツイベントの省力化サービス(みなみえる)等、地域課題解決型サービスの開発
– 地域教育機関との連携業務(インターンシップ受け入れ等)
– 地域SO連携勉強会「みなみテック」主催 等
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インターンシップを受け入れるようになったきっかけ
《船田社長》
弊社は、本社が東京都八王子にあり、ハードウェアとソフトウェア製品の設計・開発を行っています。美波町ではその業務の一部を行うとともに、地域課題を解決するためのシステム開発や実証実験などを行う拠点として活用しています。
今年でインターンシップの受け入れは4回目となります。通常は企業から手を挙げてインターン生を受け入れる場合が多いですが、今回は研究室の教授より直接相談があって受け入れを行うことになりました。徳島で継続して活動を行う中で、学校との関係性が出来上がっており、自然とこのような相談を受けるようになってきました。
今は、コロナ禍ということもあり中々都市部に学生がインターンに出ていくことが難しくなっているそうです。SOを開設していたからこそ、今回のインターンシップ受け入れに繋がっています。
受け入れを行うことで、私達としてもインターンに参加した学生が将来就職してくれるかもしれません。また、県南では体験できないような業務を学生に体験していただける機会を作れることも、地域への貢献に繋がっているのではないかと感じています。
阿南工業高等専門学校での学生に向けた事業紹介
株式会社イーツリーズ・ジャパン 美波オフィス
インターンに参加してみて
《学生》
阿南高専の専攻科1年生で、研究室では主にIoTに関する技術を学んでいます。今回、研究室の教授からの紹介でインターンシップに参加しました。インターンシップでは、スポーツイベントの省力化に向けた、新たなシステム開発に取り組みました。
《船田社長》
毎年美波町で行われるトレイルランニングの大会などで、選手の位置情報を共有する「みなみえる」というシステムを開発しています。今回はトレイルラン向けではなく、※スカイランニングの参加者に向けて、より正確に到着時間を測定できる非接触式「みなみえる」を開発しています。
※急峻な山岳や超高層ビルを駆け上がる(駆け下る)スピードを競うスポーツ
《学生》
インターンシップを通して一番大変だったのは、カードリーダーの仕様理解の部分です。まずは使ってみて、わからない部分を調べて、理解を深める、プロダクトに組み込んでいく。この一連の流れを体験することができました。また、どうしても作業の進捗の管理が普段だと曖昧になってしまうのですが、今回は丁寧に作業を分解していくことで、進捗の管理を行うとともに、大きな課題を正確に把握することに繋がりました。
作業の様子 カードリーダーと非接触式タグ
インターンのテーマについて
《船田社長》
今回のインターンのテーマとなった、スカイランニングの参加者に向けた位置情報の共有システムを作ることになったのは、地元事業者からの相談です。これまでもトレイルラン向けの「みなみえる」の開発などを通して、課題を持った事業者の話を近くで聞くことができるようになってきました。事業者としても課題をぶつけることで、オーダーメイドの仕組みを開発してくれますし、私達としても今まで開発したことのない新たな分野に挑戦ができる。そしてその仕組を実際の大会等で試させてもらえる。お互いにとってwinwinの関係ができていると思います。
スカイランニングに関してもこれから市場が拡大していく分野なので、もしかするとここで開発したシステムが全国の標準になるかもしれません。単なる美波町の課題解決ではなく、全国の課題解決にも繋がると考え取り組んでいます。
編集後記
インターンシップの活動取材のつもりが、そこには都市部の企業が地方と深く関わる姿がありました。地方と向き合うことが、企業にとっての人材採用や新規ビジネスの創出に繋がっていく可能性を感じることができました。