牟岐町の離島、『出羽島(てばじま)』はカツオ漁などの遠洋漁業で栄え、最盛期にはおよそ1000人が暮らしていましたが、現在は40人を切り、人口減少が急速に進んでいます。人口減少社会に突入した日本において、山間僻地や離島の集落は、その多くが衰退し、消滅が危惧されています。出羽島も、そんな離島の集落のひとつで、高齢化と人口流出によって、コミュニティの存続が危ぶまれています。そこで、出羽島における島民の日々の暮らしや文化、島の歴史などを後世に残すため、株式会社蛙企画(かわずきかく)の代表を務めるジャーナリストの篠原さんと世界で活躍する写真家である木村さんが写真集『TEBAJIMA』を出版しました。
写真集を作成するために、篠原さんと木村さんは、1カ月間、出羽島に家を借り、島で暮らしながら写真を撮るというプロジェクトを始めました。写真家の木村さんは島の風景や島民を白と黒のモノクロームで撮影しています。それは出羽島での暮らしが始まってからの時間の流れと厚みを表現したいがゆえ。人々の肌の質感や潮に洗われた家々の表情は、白黒のほうがうまく表現できると感じたそうです。 しかも、島民の顔はあえて写していません。「出羽島で起きていることは日本全体で起きていることであり、世界でこれから起きるであろうこと。具体的な顔や名前を捨象することで、出羽島の風景を自分に置き換えることができるかもしれない。」そう考えたそうです。
また篠原さんは、「写真集が描き出しているのは、写真と言葉で再構築した、消えつつある島の記憶。写真集を通して、島の豊かな記憶を感じ取っていただければと思います。」と語られています。
(写真:木村肇)
(写真:木村肇)
写真集の中では、多くの漁師や住民、移住者等の話や住民の暮らしの様子が伺えます。気候変動に伴う海水温の上昇で、住民の生活を支えていた漁業は壊滅的な打撃を受け、昔のように漁業で稼ぐことができなくなったと語る、漁師やその妻。住民の大半が70代となり、自宅で暮らせなくなった高齢者が施設などに入ったり、子どものいるところに移ったりしていくことで、空き家が増え、朽ちていく建物。島の生活に憧れて来た移住者も、コロナ禍の中で多くが島を去りました。集落は存続するかどうかの瀬戸際に来ています。「島の人々が何かプロジェクトを立ち上げるには、年を取り過ぎている・・・また、島の人々は、その暮らしに影響を与えるような変化を望んでおらず、このままの静かな現状維持を望んでいるように見える。」と篠原さんは語られています。このまま衰退するのか、それとも再び活気を取り戻すのか・・・
(写真:木村肇)
写真集の資金はクラウドファンディングにて集められ、2024年の6月に目標金額に到達し、7月に発行されました。写真集については、株式会社蛙企画のオンラインストアなどで購入できます。ぜひ、多くの方に写真集『TEBAJIMA』を手に取っていただき、出羽島や限界集落といわれるコミュニティに興味を持っていただければ幸いです。≪購入先(オンラインストア):https://kawazumedia.base.shop/≫
【株式会社蛙企画の基本情報】
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◆オンラインストア:https://kawazumedia.base.shop/
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【写真家 木村肇さんの基本情報】
◆HP:https://www.hajimekimura.net/
◆TEL:080-5058-6051
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