SOの進出が相次ぐ神山町で、企業や個人が視察などの際に短期間滞在できる宿泊施設「WEEK(ウィーク)神山」が7月1日にオープンすることが決まりました。
同町の株式会社「神山神領」が運営。都市と地方を行き来する新たな働き方を考えるワークショップや、食のイベントを企画し、神山の魅力を発信します。
鮎喰川を望む高台に建設しているウィーク神山は、地元木材を使った宿泊棟(木造2階建て、160平方メートル)と築70年の古民家を改装した食堂棟(80平方メートル)からなり、部屋数は8室で最大24人が宿泊できる。古民家に残された木材を有効活用し、昔の趣を醸し出しています。
1週間程度の滞在を想定していることから「ウィーク神山」と名付けました。40〜60%の稼働率を目指します。
運営に協力するNPO法人グリーンバレーによると、SO関係の視察のため、今年1月〜5月15日に124団体614人が町を訪れました。このほか、33団体367人から視察についての問い合わせがあり、ウィーク神山への需要は十分にあるとみています。
宿泊だけでなく、ワークショップを開催し、神山で働くデザイナーらが、地方でも多様な仕事ができることや、生計の立て方などを紹介します。企業の研修場所としても利用してもらう心づもりです。
1泊2食つきで、食材は地元の有機野菜栽培農家10人が提供します。料理研究家らを招いた料理教室も開催します。
神山神領の隅田徹代表(53)=同町阿野=は「地方の可能性や幅の広さを実証するための施設。神山と将来世代の役に立てれば」と話しています。
えんがわ代表でもある隅田徹代表に「ウィーク神山」開設の意気込みを聞きました。(聞き手=土井良典)
—なぜウィーク神山を設けるのか。
隅田:労働人口は都市に集中しているが、その仕事を地方に移しても十分できる。2013年7月、神山に東京で経営する会社のSOと関連会社を開設したところ、自然豊かで落ち着いた環境の中、社員が生き生きと働けることが実証された。
地方は過疎化が進み、企業による新たな投資が少なくなって、活力が失われている。山間部で投資して事業を起こすことで、そんな現状に一石を投じた。
——利用の見通しはどうか。
隅田:神山に年間2千人が視察に訪れているように、都会にだけとどまらず、働き方の多様性を求めている人は少なくない。まず田舎の生活を体験してみたいというニーズはある。
——SOで働く価値や魅力をどう伝えるのか
隅田:SOで働く人たちや住民、施設の利用者ら多様な人が出会うことで、そこから斬新なアイデアや事業が生まれる。施設の整備では、食堂を重視した。いろんな人が共に食事をしながら、人脈を広げ、アイデアを生み出してほしい。
——施設は町内の古民家を再利用する。
隅田:地方は東京のようになろうと、古い物を壊して新しい物を作ってきたが、本当にそれでいいのだろうか。古い物こそ田舎の魅力だ。見直し、磨いていくことが地方の価値を上げることになると信じている。
(徳島新聞 2015年5月21日)
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http://www.week-kamiyama.jp/